会議や打ち合わせで、「どう思う?」と意見を求められた時。頭の中ではいろいろ考えているのに、答えが出てこない。何も言えないまま話が進んで、結局、何も言えないまま終わってしまう。
40歳、50歳を過ぎても、自分の意見を言えない。いい歳して情けないな…と思っていませんか?
私も同じだったので、その気持ちはすごく分かります。でも、あることに気づいてから、考え方が変わりました。
意見が言えないのは、性格のせいでも、頭の回転が遅いからでもありません。むしろ、逆なんです。
この記事では、意見が言えない人の頭の中で起きていること、その本当の理由、そして今日からできる対処法までをお話しします。
意見が言えない人の頭の中で起きていること
意見を聞かれたときに何も言えず、その話が終わった後に「さっき、こう答えておけばよかった」と後悔する。こういうこと、ありませんか?
多くの方は、これを「自分は頭の回転が遅いから」だと思っています。でも、頭の回転が遅いわけではないんです。意見が言えない人の頭の中は、実はめちゃくちゃ回転しています。
たとえば、会議で「改善案を聞かせて?」と意見を求められた瞬間。意見が言えない人の頭の中では、こんな「脳内会議」が始まります。
- 「こうしたら、あーなるからダメでしょ」
- 「あーしたら、こうなるけど、これじゃダメだよね…」
- 「私はこうしたらいいと思うけど、違ってたら恥ずかしいな」
- 「みんなに合わせた方がいいかな」
こんな声が、頭の中で飛び交います。あれこれ考えているうちに、話がどんどん先に進んでいって、結局、意見することなく終わってしまう。
この脳内会議、本当に頭の回転が遅い人には起きません。頭の回転が遅い人は、意見を求められても頭の中が「無」だからです。
脳内会議が起きている時点で、めちゃくちゃ頭は回転しています。まわりからは「特に意見がない人」「おとなしい人」に見えるかもしれません。でも、本当は誰よりも考えている。意見がないのではなく、意見が多すぎて、まとまらないんです。
これは、会議だけの話じゃない
この脳内会議は、仕事の場面だけで起きるわけではありません。
たとえば携帯ショップ。店員さんに新しいプランを勧められて、本当はよく分からないし、高い気もする。でも「そんなことも分からないのか」と思われたくなくて、脳内会議が始まり、結局、言われるがまま契約してしまう。
病院でもそうです。お医者さんに聞きたいことがあるのに、「こんなこと聞いたら迷惑かな」「でも気になるな」と脳内会議が始まって、結局何も聞けずに診察室を出てしまう。
美容院でもそうです。本当はこうしてほしい希望があるのに、注文が多い客だと思われたくなくて、脳内会議の末に「おまかせで」と言ってしまう。
会議も、お店も、病院も、美容院も、場面は違いますが、原因は全部同じ。脳内会議が始まって、言いたいことが言えなくなっているんです。
脳内会議が長引く本当の理由
では、どうしてこの脳内会議が終わらないのか。
意見をスッと言える人は、頭の回転が速いと思いますよね。でも、考えるスピードそのものに、大きな差はありません。「1+1は?」と聞かれて2が思い浮かぶスピードに、人によって大差がないのと同じです。
同じスピードで考えているのに、片方はスッと言えて、片方は言えない。この違いは、どこにあると思いますか?
意見をスッと言える人は、思い浮かんだ答えが100点ではなくても、「こっちの方向性でいいんじゃない?」という感覚で口に出します。70点でも、60点でも、「私はこう思います」と言える。だから答えを出すのが早いんです。
反対に、意見が言えない人は、「間違ったことを言ってはいけない」という気持ちが強く、100点の答えを探して頭の中でグルグル考えます。90点の素晴らしい意見を持っていても、10点足りないだけで「言わない」を選んでしまう。
そもそも、100点の意見を言うのは難しいことです。「30キロ制限の道路を100キロで走っていいと思いますか?」と聞かれたら、意見を言うのが苦手な人でもスッと答えられますよね。答えが明白だからです。
でも、議論に上がるのは、答えが明白ではないことばかり。たとえば「売上を伸ばすために、クオリティを落として回転率を優先するか、回転率を下げてクオリティを上げるか」。これはどちらも一長一短で、どちらを選んでも100点ではありません。
意見を言える人は、「どちらかというと、こっちの方がいいのでは?」という状態でも口に出します。でも意見を言えない人は、存在しない100点の答えを探して、脳内会議が延々と長引いてしまうんです。
ここで気づいてほしいことがあります。意見が言えない人は、本当は意見が言えないのではありません。「100点の意見しか言ってはいけない」と、自分に厳しいルールを課しているんです。70点で言える人と、100点じゃないと言えない人。この差が、意見を言える人と言えない人の差です。
100点ルールの正体
では、なぜ70点で言ってはいけないと思うのか。なぜ、そこまで自分を縛るのか。
その正体が、他人軸という考え方です。
自分の行動や発言を決める基準が、自分ではなく、自分以外にある状態のこと。何かを言う時、何かをする時、「自分はどうしたいか」よりも、「人にどう思われるか」を基準に考え、人から良く思われることが、自分の正解になっている状態です。反対に、「人にどう思われるか」よりも「自分はどうしたいか」を基準に考えられることを、自分軸と言います。
これを100点ルールに当てはめてみてください。
他人軸になると、周りからどう思われるかが基準になります。すると、自分の意見が100点じゃないと言えなくなる。もし70点の意見を言って「それ、違うんじゃない?」と思われたら、恥ずかしいからです。この「恥ずかしい」という感情は、周りにどう思われるかを気にしているからこそ出てくる感情です。
整理すると、こうなります。
- 他人軸で、周りにどう思われるかが気になる
- 間違って恥をかきたくない気持ちが強くなる
- 100点で答えようとする
- でも100点の答えは見つからない
- 結局、意見を言えない
意見が言えないのは、能力の問題ではありません。他人軸のまま脳内会議をしているから、終わらなくなっているんです。
今日からできる、脳内会議の止め方
ここからは、今日からできる脳内会議の止め方を、3つお伝えします。
1. 100点ではなく、方向性を出すと決める
議論に上がることに、100点の答えはありません。だから100点を探すのをやめて、「私はどちらかというと、こっちだと思う。その理由は…」という形で、方向性だけ決めてください。
たとえばさっきの売上会議なら、こう言えばいいんです。
「私はどちらかというと、クオリティを上げる方がいいと思います。理由は、その方が長く安定しそうだからです」
「どちらかというと」「今の時点では」といった言葉を付けておくと、あとで意見を変えても違和感がありません。100点を出そうとすると脳内会議は終わりませんが、70点でいいと決めた瞬間、結論が出ます。
2. 間違っても、バカにされないと知る
意見が言えない人は、「間違ったことを言ったらバカにされる」と思っています。でも、考えてみてください。会議で誰かが「私はこう思う」と言って、その意見が採用されなかった時、その人はバカにされていますか? されていませんよね。
仮に間違ったことを言ってしまっても、「なぜそう思うのか」という理由さえ述べていれば、良識のある社会人はこう受け取ります。「その見方をしたら、確かにそういう意見になるよね」と。
見方によって意見が変わることは、良識のある人なら分かっています。間違ったことを言ったという理由だけで、バカにされることはありません。
3. 意見は、前もって用意しておく
何について話すか前もって分かっている場合は、脳内会議を本番ではなく、一人で落ち着ける環境で先にやっておけばいいんです。「この議題について聞かれたら、私はこっち。理由はこれ」というメモを一つ用意しておく。
本番では、準備したものを読み上げるだけ。これなら、緊張で頭が真っ白になっても、意見を言うことができます。
実は私も、話すのが苦手です。こうしてブログや動画で発信していますが、何を話すか決めていても上手く話せないので、事前に台本を書いて準備しています。準備さえしておけば、苦手でも伝えられる。これは、誰にでもできる方法です。
この3つの中から、「これならできそう」と思ったものを、どれか一つだけでも次の機会に試してみてください。それだけで、今までよりも意見が言えるようになります。
「意見が言えない」を変えたい方へ
ここまで読んで、「私、完全に他人軸かもしれない」と思った方もいるかもしれません。逆に「自分は違うかも」と思った方もいるでしょう。
実は、自分が他人軸なのか自分軸なのかは、感覚ではなかなか分かりません。「私は人の目なんて気にしてない」と思っている人ほど、無意識に他人軸になっていることがあります。
他人軸・自分軸診断シート
そこで、あなたが今どれくらい他人軸なのかを、1分でチェックできる診断シートを用意しました。
18個の質問に「はい」がいくつ当てはまるかを数えるだけ。「はい」の数で、あなたの今の状態が分かります。そして、他人軸から自分軸に変わっていくための「3つの考え方」もお伝えしています。
このような方に役立つ内容です。
- 意見が言えない自分を、変えていきたい
- 人にどう思われるかが、いつも気になってしまう
- 自分がどうしたいのか、分からなくなることがある
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まとめ
意見が言えないのは、頭の回転が遅いからでも、能力が低いからでもありません。むしろ、考えすぎるくらい考えている人です。
ただ、「100点の意見じゃないと言ってはいけない」という100点ルールを、自分に課しているだけ。そして、その正体は他人軸という考え方でした。
今日お伝えした「方向性でいい」「間違ってもバカにされない」「前もって用意しておく」という3つも、根っこにある他人軸が変われば、もっと自然にできるようになります。
意見が言えないのは、あなたの性格や能力のせいではありません。後から身についた考え方が、そうさせているだけ。そして、身についた考え方は、変えられます。今日が、その一歩になればうれしいです。
