人間関係に疲れるのは、単に人付き合いが苦手だからとは限りません。自分では気づかないうちに、相手に合わせすぎたり、必要以上に相手の反応を気にしたりしていることがあります。
人と関わるたびに疲れる方は、これから紹介する5つのうち、どれかを無意識に続けている可能性があります。疲れる原因に気づくだけでも、人との付き合い方は少しずつ楽になります。
1.相手にどう思われるかを基準にしている
自分がどうしたいかよりも、相手にどう思われるかを基準にして物事を考えると、人間関係に疲れます。
本当は断りたいのに、「断ったら感じが悪いと思われるかもしれない」と考えて引き受ける。言いたいことがあっても、「嫌な人だと思われるかもしれない」と考えて、言わずに我慢する。このようなことが増えていきます。
服装や話し方、連絡を返す時間まで、「変に思われないかな」「失礼だと思われないかな」と気にする方もいます。いつも相手の反応を考えているため、少しずつ神経をすり減らしてしまいます。
断りたいのに、無理をして参加してしまう
たとえば、友人から食事に誘われたとします。
本当は家でゆっくりしたいのに、「断ったら付き合いが悪いと思われるかもしれない」「次から誘ってもらえなくなるかもしれない」と考え、無理をして参加します。
食事に行ってからも、「相手を退屈させていないかな」「変なことを言っていないかな」と、相手の反応を気にし続けます。食事を楽しむことよりも、自分がどう思われているかを考えることに神経を使うため、帰る頃にはぐったり疲れてしまいます。
一方、自分がどうしたいかを基準にしている人は、「今日は疲れているから休みたい」と思えば、「今日は疲れているので、また今度」と断ります。
食事に行った場合も、相手への気づかいはしますが、自分の言動を必要以上に気にしません。そのため、人と会ったあとも、ぐったりするほど疲れにくいのです。
「自分はどうしたいのか」を先に考える
人間関係に疲れにくくなるためには、「相手にどう思われるか」ではなく、「自分は本当はどうしたいのか」を基準に考えることが大切です。
自分の気持ちを基準にすると、無理をする場面が減ります。人と一緒にいるときも、自分の気持ちを押し殺さなくて済むため、同じ相手と同じ時間を過ごしても、疲れ方が変わります。
まずは何かを決める前に、「相手はどう思うだろう」と考えるのではなく、「私は本当はどうしたいのだろう」と自分に聞いてみてください。
2.本音を言っていない
本音を言わずに人と付き合っていると、相手に誤解されます。そして、誤解された自分のまま人間関係を続けることになるため、疲れてしまいます。
本当は「私は反対です」「その考え方は違うと思います」と感じているのに、「私も賛成です」「私も同じ考えです」と答えれば、相手はこちらも同じ意見だと思います。
本当は手伝ってほしいのに「一人で大丈夫です」と言えば、助けがいらない人だと思われます。本当は嫌だったのに「大丈夫です」「気にしていません」と言えば、嫌がっていない人だと思われます。
相手は口にした言葉を受け取っている
相手は、こちらが口にした言葉をもとに、どのような人なのかを判断します。
本音とは違うことを言い続けると、本当の自分を分かってもらえません。本当は違う意見なのに同じ意見だと思われ、本当は助けてほしいのに、助けがいらない人だと思われます。
その結果、心の中では「本当は違うと思っているのに」「本当は助けてほしいのに」「本当は嫌なのに」と感じながら、人間関係を続けることになります。これでは、人と関わるたびに疲れるのも当然です。
しかし、相手からすれば、こちらが伝えた言葉をそのまま受け取っているだけです。心の中で「どうして分かってくれないのだろう」と思っていても、口にしなければ伝わりません。
少しずつ本当の気持ちを伝える
人間関係に疲れにくくなるためには、本当は違うと思っているのに賛成したり、本当は嫌なのに大丈夫だと言ったりせず、自分が本当に思っていることを伝える必要があります。
反対なら、「私は少し違う考えです」と伝える。手伝ってほしいなら、「手伝ってもらえますか」と伝える。嫌なことは、「それは困ります」「私は嫌です」と伝えます。
いきなりすべての本音を話す必要はありません。まずは、自分の気持ちと反対のことを言わないようにするだけでも、相手から誤解されることが減ります。
本音を言えるようになると、心の中にモヤモヤが残りにくくなります。自然体の自分で人と付き合えるようになるため、人間関係も楽になります。
3.相手の機嫌を気にしている
相手の機嫌を気にしすぎることも、人間関係に疲れる原因になります。
相手がいつもより暗かったり、反応が悪かったりすると、「怒っているのかな」「私が何かしたのかな」と考えてしまう方がいます。何も言われていないのに、自分のせいかもしれないと思い、自分を責めてしまいます。
さらに、相手の機嫌を直そうとして、いつもより明るく話しかけたり、優しくしたり、相手が喜びそうなことを考えたりします。自分を責めるだけでなく、相手の機嫌をよくするためにも神経を使うため、さらに疲れます。
相手が無愛想なだけで不安になる
たとえば、職場でいつも普通に話している人が、今日は少し無愛想だったとします。
相手の機嫌を気にする人は、「何か失礼なことを言ったかな」「私のことを嫌いになったのかな」と考えます。そして、相手が普通に戻るまで、その人の様子を気にし続けます。
仕事をしていても、「何を話せば機嫌がよくなるだろう」「どう接すれば機嫌が直るだろう」と考えてしまいます。これでは、仕事をしている間も、相手の機嫌に神経を使い続けることになります。
相手の機嫌と自分を切り離す
相手の機嫌が悪い原因が、自分にあるとは限りません。
仕事で嫌なことがあったのかもしれません。体調が悪いのかもしれませんし、家族との間で何かあったのかもしれません。本人にしか分からない事情がある可能性もあります。
相手から直接、「あなたの言動で困っている」と言われていないのであれば、すぐに自分のせいだと思う必要はありません。
私は、相手の機嫌が悪くても、「今日は機嫌が悪そうだな」「何かあったのかな」と思うだけです。相手から直接何かを言われて、はじめて自分に関係することとして考えます。
これは、相手の機嫌と自分を切り離して考えているということです。相手の機嫌は相手の問題であり、こちらが必ず直さなければならないものではありません。
相手の機嫌を自分の責任にしなくなるだけでも、人間関係はかなり楽になります。
4.人から言われたことをずっと考えている
人から言われたことを、あとになって何度も考えていると、人間関係に疲れます。
相手から少しきつい言い方をされたとき、「どうしてあんな言い方をしたのだろう」「私のことが嫌いなのかな」「何か失礼なことをしたのかな」と考えてしまうことがあります。
そのことを、ご飯を食べているときも、テレビを見ているときも、お風呂に入っているときも考え続けます。寝る前や次の日になっても思い出し、そのたびに腹が立ったり、落ち込んだり、不安になったりします。
実際に相手と話していた時間は短くても、その言葉について何時間も考え続ければ、人間関係に疲れるのは当然です。
考え続けても相手の本心は分からない
相手が、どのようなつもりでその言葉を言ったのかは、考えるだけでは分かりません。
誰に対してもきつい言い方をする人で、本人には悪気がないのかもしれません。親しい関係だから、何を言っても大丈夫だと思っている可能性もあります。
失礼なことを深く考えずに口にする人は、言った本人がすぐに忘れていることもあります。一方で、言われた側は、その言葉にどのような意味があったのかを真剣に考え続けます。
しかし、いくら考えても、相手の本当の気持ちは分かりません。答えの出ないことを考え続けるため、心が休まらなくなります。
受け流すか、直接確認する
人の言葉を考え続けないためには、まず「この人は、こういう言い方をする人なんだ」と割り切ることです。
きつい言い方をする人や、失礼なことを平気で言う人は、誰に対しても同じように話していることがあります。その場合は、「この人は、こういう人なんだ」と受け流すことで、自分を守れます。
普段はそのような言い方をしない人だったり、どうしても受け流せないことを言われたりした場合は、「先ほどの言葉は、どういう意味ですか」と直接確認する方法もあります。
直接聞くことで、自分に落ち度があれば直せます。こちらに問題がなければ、相手が失礼なことを言う人だと判断し、距離を取ることもできます。
答えが分からないまま何日も考え続けるより、受け流すのか、確認するのかを決めたほうが、気持ちは楽になります。
5.誰とでもうまくやろうとしている
誰とでもうまくやろうとすると、人間関係に疲れます。
人には相性があります。話しやすい人もいれば、話しにくい人もいます。一緒にいて楽な人もいれば、少し話すだけで疲れる人もいます。
これは、誰にでもある自然なことです。
それでも、「苦手な人とも仲良くしないといけない」「誰にでも感じよく接しないといけない」「嫌われないようにしないといけない」と考えていると、合わない人にまで自分を合わせることになります。
合わない相手にまで自分を合わせてしまう
誰とでもうまくやろうとする人は、話すことが得意ではなくても、相手に合わせて一生懸命話題を広げようとします。
相手のテンションが高ければ、自分も明るく振る舞います。本当は話を終わらせたいと思っていても、途中で切り上げられず、そのまま付き合い続けます。
苦手な人から誘われたときも、「断ったら関係が悪くなるかもしれない」「付き合いが悪いと思われるかもしれない」と考え、無理をして参加します。
こうして誰とでもうまくやろうとすると、自分のペースで過ごせません。人と会うたびに自分を相手に合わせることになるため、次第に人付き合いそのものが嫌になってしまいます。
全員に好かれる必要はない
本当は、誰とでもうまくやる必要はありません。
話が合う人もいれば、合わない人もいます。一緒にいて落ち着く人もいれば、落ち着かない人もいます。この事実を受け入れられるかどうかで、人間関係の疲れ方が変わります。
「合わない人がいても仕方がない」「全員に好かれなくてもいい」「苦手な人とは、必要なことだけ話せばいい」と考えられる人は、人間関係が楽になります。
一方で、「誰とでもうまくやらなければならない」「嫌われてはいけない」「苦手な人とも仲良くしなければならない」と考えている人は、合わない相手にまで自分を合わせ続けます。
合わない人がいることは、悪いことではありません。合わない人まで無理に好きになったり、仲良くなろうとしたりしないことが大切です。
職場であれば、仕事に必要な会話ができていれば十分です。近所の人であれば、会ったときに挨拶ができていれば十分です。
誰とでもうまくやろうとせず、合わない人とは必要な距離を取るようにすると、人間関係はとても楽になります。
人間関係に疲れないために大切なこと
ここまで紹介した5つに共通しているのは、自分の気持ちよりも、相手にどう思われるかを優先していることです。
相手に嫌われないように無理をする。本音を隠して相手に合わせる。相手の機嫌を自分の責任だと考える。人から言われたことを何度も考え、合わない人とまで仲良くしようとする。
このようなことを続けていると、自分の気持ちはいつも後回しになります。
頭では「もっと自分を大切にしたほうがいい」と分かっていても、長年続けてきた考え方や行動は、簡単には変えられません。
なぜ相手を優先してしまうのか。どうすれば、自分の気持ちを大切にできるのか。その理由と方法が分からないままでは、同じことを繰り返してしまいます。
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まとめ
人間関係に疲れた人が無意識にやっていることは、次の5つです。
1.相手にどう思われるかを基準にしている
2.本音を言っていない
3.相手の機嫌を気にしている
4.人から言われたことをずっと考えている
5.誰とでもうまくやろうとしている
人間関係を楽にするために、急に自分を変える必要はありません。
まずは、「私は本当はどうしたいのだろう」と考えることから始めてみてください。自分の気持ちを後回しにする回数が少しずつ減るだけでも、人との付き合い方は変わっていきます。

